三章 愛されない悪の皇女

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「ヨダレのせいだけでははないと思いますよ……!」 「あの皇帝陛下に顔が怖いだなんて!」 「確かにめちゃくちゃ怖いですけど」 「皇女様が生きておられるのが奇跡ですよ!」 「そ、そうよね。ユーゴもそう言っていたの。普段ならば殺されていたらしいと……」 「「今回は幸運だったんですね!」」 キャンディスが無事に戻ってきてくれてよかったと、手を合わせながら涙する二人の反応を見つつ、やはりそうだったのかと思いつつもキャンディスは己を律していた。 (やっぱり普段から人に優しくしておけば神様が見ていてくれるというのは本当なんだわ……!) キャンディスの行動は相当危ないものだったのにもかかわらず、何故許されたのか理由はわからないが一安心だ。 キャンディスになって一ヶ月半。 適当に考えた真逆作戦や盛大な勘違いにより、己の運命が大きく変わっていることにはまだ気付かぬままキャンディスはローズにアルチュールとジャンヌを部屋に呼ぶように頼んだ。 その後はアルチュールとジャンヌ、エヴァやローズにバイオレット宮殿でもらってきたケーキを見せる。 そして一緒に食べようと提案した。 (きっとみんなも美味しいと言ってくれるわ!) こうして人と過ごすうちに次第に喜びを共有したいという気持ちが出てきたキャンディスは当たり前のように誰かを誘うようになった。
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