三章 愛されない悪の皇女

35/48

500人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
最初は遠慮していたジャンヌとエヴァとローズだったが、キャンディスがどうしても一緒に食べたいと言ったことや、部屋の中で誰も見ていないからという理由でケーキを食べてくれた。 みんなで美味しいものを食べるというのは最高である。 しかしお昼ご飯が食べられなくなり、シェフに怒られたのと「バイオレット宮殿のシェフには負けていられません!」という理由で、夕食にシェフが作ったケーキが出たのは言うまでもない。 キャンディスはその晩、自分の置かれた状況を振り返るために寝間着のまま窓を開けて空を見上げていた。 少し肌寒いが星がキラキラと輝いていて美しい。 (星って、こんなに綺麗だったのね) ずっと牢の中にいた記憶があるからか、些細なことが嬉しくてたまらない。 今まで悪の皇女と呼ばれていたため、いい皇女になろうと真逆作戦を実行しているがうまくいっているのかは正直、まだわからない。 しかし以前のようなどうしようもない寂しさや消えない苦しみを感じなくなっていたことは確かだった。 (わたくし、いい皇女になれているのかしら……?) 帝国を脱出するまで、まだまだ潜り抜けていかなければならない試練が待ち受けているだろう。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

500人が本棚に入れています
本棚に追加