三章 愛されない悪の皇女

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とりあえず母への手紙はすぐに書いておいて「出そうと思っていた」と言うことをアピールするのがいいだろう。 問題は手紙をラジヴィー公爵を介さずに母に渡すためにはヴァロンタンに頼まなければいけないといことだ。 またあのよくわからない時間を過ごさなければならないと思うと憂鬱だし正直、どんなコミュニケーションを取ればさっぱりだ。 次は不機嫌だとしたら粗相をして殺されてしまうのではないかと思うと不安である。 頼み事をして素直にわかったと聞いてくれるほど、ヴァロンタンが寛容とは思えないからだ。 (ああ……どうしましょう) 講師の件はジャンヌやエヴァかローズに相談してみるとして、母への手紙はユーゴに頼んでみるかという答えに行き着いた。 キャンディスは窓を閉めてから、ゴロリと大きなベッドに寝転んだ。 不安はないといえば嘘になるが小さな積み重ねから頑張ろうと、小さな手で頬をペチペチと叩きながら気合いを入れていた。 (明日もいい日になりますように) そんな願いを込めて眠りについた。 ──次の日に朝食を食べ終わった頃に三人に声をかける。
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