三章 愛されない悪の皇女

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「勘のいいガキね。噂とは性格が違ったけど、馬鹿な皇女で助かったわ……入ってきな」 新人侍女の雰囲気がガラリと変わる。 そして講師として優しく接してくれるモネがいつもとは少し違う動きやすい格好で現れた。 キャンディスは自分の嫌な予感が外れないことに気づいて焦っていた。 エヴァとローズは休憩中で、ホワイト宮殿の警備は今は手薄だった。 何故ならば、記憶が戻る前にキャンディスが気に入らない護衛を次々とクビにしまくっていたから。 五歳にして顔の好みで残るかどうかを決めていたことを今になって思い出す。 「でもまぁ、皇女が宮殿内で嫌われているって噂は本当だったんだのね。警備も手薄で侍女もこんなにいないなんて……可哀想にねぇ」 「ほんとほんと。人手不足だからって簡単に雇い入れてくれて助かったよ」 「……っ!」 どうやら記憶が戻る前のキャンディスが大量の侍女や護衛をクビにしていた影響がこんなところに出てしまっていたようだ。 そしてラジヴィー公爵の息のかかっていない講師という条件で勝手にホワイト宮殿に招き入れてしまったことでこんなことになってしまったことを後悔していた。 「皇女を攫って、たんまり金をいただくよ!」 その言葉にキャンディスは大きく見開いた。
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