三章 愛されない悪の皇女

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(この方たちはもしかして人攫いっ!?) さっそくの大ピンチである。 キャンディスは大声を出そうと声を上げようと口を開いた。 「たしゅ……たっ、れて」 「無駄だ」 「……っ!?」 唇も喉も痺れているのかビリビリして声が出ない。 このまま誰も気づいてくれなければ……そう思うと血の気が引いていく。 「痺れ薬が効いてきたみたいだね。あの侍女たちが戻ってくる前にさっさといくわよ」 「もう裏手に馬車は停めてある。作戦通りにいくわ」 二人に騙されたとショックを受けるのと同時に、自分の皇女だいう立場を改めて思い出すこととなる。 キャンディさんは大した抵抗ができないまま、お姫様だっこのような形で抱き上げられる。 小さな体は簡単に持ち上げられてしまい、部屋の外へと向かう。 キャンディスの唇も手もじんじんと痺れてうまく動かすことができない。 (エヴァ、ローズッ……!気づいてっ、誰かわたくしを助けなさいよっ) アルチュールもジャンヌもこの時間はキャンディスの部屋に講師が来ていると知っているため、しばらくは部屋には近づかない。 終わった後にアルチュールやエヴァとローズが気づいたとしても、キャンディスは攫われており部屋はもぬけの殻だ。 (油断していたわ!このままだとあっという間にホワイト宮殿の外に……どうすればっ)
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