三章 愛されない悪の皇女

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キャンディスが考え込んでいる間にも、二人はどんどんと足を進めていく。 人とすれ違っても「皇女様は気分が優れないように医務室へ」と言われてしまい誰も気づくことはない。 今までこんなことは一度もなかったとは言わないが、キャンディスは誰も信頼していなかったし気に入らない奴はすぐにやめさせていたので、こうなる前に対処できていたのかもしれない。 あまりの恐怖にキャンディスの体は震えが止まらなかった。 涙がハラリハラリと流れていくが、周りから見えないように隠されてしまう。 (誰か……!誰でもいいから助けてっ) ホワイト宮殿の廊下を抜けて日の光が見えてくる。 中庭に差し掛かった辺りだろうか。 このまま誰にも見つからずに攫われてどこかに連れていかれてしまうのかもしれない……そう思った時だった。 「そこで何をしている?」 聞き覚えのある声が耳に届いた。 だが、絶対に違うだろうと思っていた。 こんなところにいるはずがないのだ。 しかし慌てて頭を下げていることが体の動きからわかる。 キャンディスを抱える腕はガクガクと震えていた。 「あっ……」 「……っ、皇帝、陛下!?」 「答えろ。そこで何をしている」
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