三章 愛されない悪の皇女

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モネがキャンディスを空中に投げたのだ。 キャンディスの体は力が入らずに、ただ下に落ちていくかと思いきや、ヴァロンタンが間一髪で支えた。 体を逞しい腕がキャンディスの小さな体を包み込む。 「……さっさと逃げるよっ!」 「わかってる!」 どうやらヴァロンタンに見つかったことで、二人はキャンディスをこの場に捨てて逃げることを選択したようだ。 ヴァロンタンの低い声が響く。 「捕らえろ」 「はっ……!」 どこから出てきたのか複数人の人が背後から飛び出て、凄まじい速さで二人を追いかけていく。 キャンディスは名前を呼ぼうとするものの、呼吸がうまくできずに咳き込んだ。 視界がボヤけて見えない。 安心感からか薬のせいからかポロポロと涙が溢れてくる。 口端からヨダレが伝っていく。 手が上げられたないため涙も拭うことすらできない。 するとユーゴがキャンディスにそっと触れたり、目の前で手を振って眼球の動きを確かめているようだ。
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