三章 愛されない悪の皇女

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「意識はありますが何か飲まされているようです。痺れ薬かもしれません」 「……失態だぞ。ユーゴ」 「申し訳ありません。罰はあとで受けます。まずは皇女様を」 ユーゴが叱られているがキャンディスは何も言えないままだ。 気道に唾が詰まって咳き込んでしまう。 ゴホゴホとキャンディスが苦しんでいる姿をヴァロンタンの表情は変わらない。 むしろ観察するようにじっと見られていることに恐怖すら感じはじめた時だった。 「──離せっ!離して」 「嫌よ!私たちは悪くないわ!」 どうやらキャンディスを拉致しようとした二人はあっさりと捕まってしまったようだ。 腕を掴まれているのだが必死に身を捩り抵抗している。 ヴァロンタンは片手でキャンディスを抱えられながら、右手で剣を持っている。 「……死んで償え」 そんな声と共に一人の首が音もなく床に落ちた。 けたたましい悲鳴が響き渡る前にもう一人の首も落ちる。 真っ赤な血溜まりができるのを見て、キャンディスの脳内にフラッシュバックする記憶。 首を斬り落とされて処刑された自分の姿と重なって目を見開いた。 (わたくしと、同じ……)
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