四章 皇女は立ち向かう

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そんな時、血まみれのユーゴは拷問を終えたらしくて、にっこりといつもと同じ笑みを浮かべながらヴァロンタンの元に報告に来た。 キャンディスはあまりの衝撃映像に食べかけのクッキーをポトリと落としてしまう。 「ユーゴ、そんな姿を子どもの前で見せるな」 「何を言っているんですか。皇帝陛下だってキャンディス皇女殿下の目の前で首を斬っていたではありませんか」 「あれは……見えていなかった」 「間違いなく見えていたと思いますが」 にっこりと笑ったユーゴに黙り込んだヴァロンタンはキャンディスにチラリと視線を向ける。 見ていたのかと問いかけるような視線を送られて、どうしようか迷ったが素直に頷いた。 「…………」 「ほら、そうでしょう?」 得意げなユーゴだったが、ヴァロンタンに睨みつけられたことで咳払いをする。 キャンディスの前ではあるが、内容はわからないとでも思っているのだろうか。 ユーゴは淡々と説明を続けた。 どうやらキャンディスを攫おうとした犯人は貴族相手に詐欺を働いている盗賊団のメンバーだったらしく、一番警備が手薄で性格が最悪な皇女との噂のキャンディスの元に忍び込んで機会を伺っていたらしい。 そしてタイミングよく侍女の募集が行われて、キャンディスが講師を探していると聞いたことで、うまく仲間を引き込んだ。 そして誘拐して身代金を要求して、大金を受け取った後に子供を返して姿をくらます。 手口はキャンディスの時と同じだそうだ。
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