四章 皇女は立ち向かう

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キャンディスは縋るような視線をユーゴに向けていると、音もなくヴァロンタンが現れたことでキャンディスは肩を跳ねさせた。 しかし今だけは怖がっている場合ではないと、ユーゴに説明したのと同じように訴えかける。 キャンディスが何が言いたいのかがわかったのか、少し間が開いた後に沈黙が流れた。 「お、お願いします!皆と一緒にいたいのですっ」 「……」 「どうか……!」 「…………好きにしろ」 「いいのですか!?」 「ああ」 キャンディスが安心せてホッと息を吐き出すとユーゴが驚いたように声を上げる。 「先ほどホワイト宮殿の者たちはすべて入れ替えると仰っていたではありませんか!」 「…………」 ヴァロンタンはユーゴの言うことを無視すると何事もなかったかのようにキャンディスの頬を指でつつきながら遊びはじめた。 こうして様子を見に来ては、頬をつついたりケーキを食べる姿を見て去っていく。 何を話すわけでもなく資料をペラペラ捲る音だけが響くだけ。 意味がわからなすぎてキャンディスは怯えつつも、大人しくしてされるがままだ。
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