四章 皇女は立ち向かう

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「くくっ……」 「ユーゴ、脅かすのはやめて!」 ユーゴもキャンディスが何かするたびに笑っている。 キャンディスは頬を膨らましつつ長いソファに置かれているクッションを丁寧に元に戻す。 そしてそろそろホワイト宮殿に戻りたいと思い声をかける。 しかしこの時間がもっとも緊張する時間である。 キャンディスは可愛らしい笑みを浮かべながら問いかける。 「皇帝陛下、そろそろホワイト宮殿に行ってもいいでしょうか?」 「………」 ヴァロンタンはめんどくさそうにむくりと体を起こすとキャンディスをチラリと視線を送る。 「……明日も来い」 「ッ!?」 明日もこの緊張感の時間を過ごさなくてはならないかと思うと、キャンディスは涙目になってしまう。 (うぅ……どうしてわたくしがこんな目に) しかし断ることなどできずにバイオレット宮殿に足を進めることになってしまう。 ヴァロンタンは無表情で再びキャンディスの頬を突いている。 横から「ブハッ」とユーゴの吹き出す声が聞こえて、キャンディスは頬を膨らました。 頬が膨らんだことで、つつけなくなったヴァロンタンは不満を露わにしている。 この頬をつつかれる行動もキャンディスは何かの試練だと思っていた。
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