三章 愛されない悪の皇女

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(ま、まさか……これをすべて食べろということではないわよね?) 小さめにカットされているにしても、子供には十分な量だ。 しかし折角だからと今度はチョコレートを使ったケーキに視線を送る。 すると給仕の男性が「こちらでよろしいですか?」と、キャンディスに確認をとる。 反射的に頷くとキャンディスの前にチョコレートケーキが置かれる。 美しくデコレーションされたケーキを見て目を輝かせたキャンディスの口に吸い込まれるようにしてケーキは消えていく。 苦味の強い紅茶を飲みながらホッと息を吐き出すと、顎に手を当てながらこちらを見ているヴァロンタンの姿があった。 なんとなく気まずくなって、キャンディスは問いかけるために口を開いた。 「おと……っ、皇帝陛下は召し上がらないのですか?」 お父様、と言おうとして寸前でやめる。 (前とは真逆な対応をしなくちゃ……!そうしないとわたくしはまた死刑にされてしまうのよ) 今回は母親にも父親にも執着しないと決めたのだ。 こうしてケーキを与えられたり、ヨダレを垂らしても許されたりして勘違いしそうになってしまうが、キャンディスが愛されることは絶対にない。
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