モンスターエンジン〜怪獣自衛隊〜

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 「はーい、ちぇ、これからが凄くいいところなのに」 巨大鮫メガロドンに海と空から戦いを挑む。最強の現場女子「タックネーム『リオン』」のクライマックスは構想のまま終わってしまう。私には親しい友人がいない。両親は引っ越しが多く、せっかく知り合った子とも親しくなる前にお別れをしなければならなかった。だから趣味で集めたプラモデルたちが唯一の友人だ。 よその街へ引っ越すには道路が交通止めにされているところが多く、遠回りをしなければならないが、概ねの交通機関は運休になっており、通れる道でも大渋滞が起きる。両親が言うには私の住むアローヘッドという所は『怪獣』が現れるからだという。しかし幼かった私は子供を早く帰宅させる為の作り話だと思っていたが、どうやら作り話ではないという事を思い知らされる。 見てしまったのだ、まるで恐竜のような巨大な足跡の上で、ぺしゃんこにされた、軽自動車の残骸を… 剥き出しにされたフロントとトランク、押し潰された衝撃で空気圧が急に抜け歪に曲げられたタイヤ、跡形もなく破損した硝子。ガソリンに引火して爆発したのだろうボディの色がわからない程黒焦げになっている悲惨な事故現場。怪獣は本当にいるんだとこの時は心底震えたのを私は今でも鮮明に覚えている。踏みつけられただけでこんな事が起こるのか、こんなのが市街地で暴れたらこれでは済まない事になる。出来るなら会いたくないとずっと願っていたものだ。 いっぽうでそんな怪獣と戦う組織が存在する。通称モンスターエンジン、正しくは『怪獣自衛隊』という部隊だ。
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