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「まず『コーナーショットガン』だ。銃口が左右にスライドして死角の標的を打てるようになっている。それから『ブルパップ・タボール・アサルトライフル』がロボット兵器の通常兵装だ」
「意外と軽装なんですね」
『ガトリング砲』や『パトリオット・ミサイル』とかを実装しているのかと思ったが、兵装の種類が少ないというのは驚きだ。
「あたしもトロッコ問題の渦中に立たされているのだよ。怪獣討伐か国民の安全のどちらを優先順位にするのか、そりゃ最新鋭の兵装をありったけ積み込めば、怪獣に勝てるだろう。しかしその影で国民の命が危ぶまれる事は避けたい。弾丸や爆薬を多く使ったぶんこちらの受けるダメージも大きくなってしまう。だから可能な限り怪獣だけをピンポイントで狙える兵装をあたしなりに厳選したつもりだ」
「確かに銃器による戦いは、銃声で不安になったりPTSDに陥る人も少なくありません。だから軽装なんですね」
「ここに入隊した時、履歴書を読んだ。趣味は恐竜やミリタリーって書いてあったけど、筋金入りね。道理で、あたしの説明に疑問もなくついて来れた訳だ」
うちに欲しいくらいと呟いて、教授は少し口角をあげた。
「教授も稀な人です。怪獣自衛隊の人は怪獣の討伐を最優先に置くのに、あなたは国民の安全も配慮している」
「どうかな。とにかく接近戦をするならアローヘッド北東部の沖にして頂戴。仮に犠牲者が出たとしても最小限で抑えられる。そして、そこに怪獣の巣があるとあたしは睨んでいる」
教授はタブレット端末に「つるはし頭内陸部移動ルート」という項目を表示させる。そこにはアローヘッドの地図とつるはし頭がどこから来てどこに移動したかという統計データが記載されていた。アローヘッド南東部から南西部へ、そこからくの字を描くように内陸部へ、最後には北東部の沖へ抜けている。出現率はアローヘッド南東部の沖が一番高いようだ。
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