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プロローグ
私と海斗は中学1年生の同級生。
同じクラス、同じ班、同じ部活。
それだけで満足だったのに…。
教室の窓を叩いては流れる雨を眺めながら、
あの日のことをぼんやり考えていた。
「私のこと…どう思ってる?」
勇気を出して、私が海斗に言った言葉。
思い出すたび、後悔の嵐が襲ってくる。
返事は「……ふつう」と一言だけ。
その日から私は海斗を避けるようになった。
な〜んで、あんなこと言っちゃったんだろ。
突然すぎて誰だって困るってもんでしょ。
答えてくれただけでも、有難いと思わなきゃ罰が当たる。
誰にでも優しい海斗のことだから、
私を傷つけないように多く見積もっての
「ふつう」だったんだよ。
当たり前じゃん。私のこと好きなわけないし。
何をそんなに自意識過剰になってるんだって話。
あーだ、こーだと言っても時間は戻せない。
そして、また後悔…
わたし…なんてことしちゃったんだ……。
もう考えるのやめよう…それより…
あぁ、雨止まないなぁ…
今日の部活は室内でトレーニングか……
「……もと」「…うもと?」「堂本!」
「堂本 茜! ボーっと外ばっかり見てないで、ちゃんと聞け~」
先生に注意され前を向くと、みんなの笑い声が響いた。
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