小学生の思い出

1/2
前へ
/13ページ
次へ

小学生の思い出

私は小学2年生の時に引っ越してきた。 この町の子どもたちは、幼稚園から中学校まで地元の学校に通い、ほぼ同じ顔ぶれで進学する。 転校生の私は、高学年になっても名前と顔が一致しない子も少なくなかった。 初めて海斗の存在を意識したのは、小学校6年生の時。 クラスの女の子達が、隣のクラスのある男の子のことを噂しているのを聞いてしまった。 「海斗と愛里ちゃんてさぁ、両思いって聞いたけど本当なのかな?」 「それは分かんないけど、海斗と同じクラスになったら女の子ってみんな、海斗のこと好きになっちゃうよね〜。海斗を嫌ってる子っていないんじゃない?」 もう、それはそれは、海斗がんだということを、十分すぎるほど私に植え付けるゴシップだった。思わず、海斗ってあの子だよね?と顔と名前を答え合わせしていた。 確かに愛里ちゃんは可愛くて、頭も良くて、運動もできる完璧な女の子。 あり得なくはない…。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加