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給食の時間になれば、一斉にみんなが手洗い場に集まる。
私は、先生の頼まれごとに付き合わされ職員室へ…。
「失礼しました」と職員室を出ると【廊下は走らない!】の貼り紙を横目に、早歩きで手洗い場に向かう。
みんなは手を洗い終わり教室に戻っていて、廊下には誰もいない。
手洗い場のほうに目を向けると、噂の男の子…海斗が1人で手を洗っていた。
一度も同じクラスになったことがない、話すらしたこともない海斗。
あの噂話を聞いていたためか、横に並ぶことに一瞬躊躇してしまった。
海斗が洗い終わるまで待とうか…とも考えたが、そんな悠長なことは言ってらない。早く教室に戻らなきゃ!
勇気を出して洗い場に立つと、海斗は私のことなんて気にもとめる様子もなく…もちろんそうだろう。
私が手を洗い出すと、海斗はすぐに水を止め、足早に教室に戻っていった。
ほんの数秒の出来事。
だけど、鮮明に記憶している。
なぜかわからないけど…海斗のことが、とても気になったから。
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