ホントの気持ちを聞かせてよ

中学生になって

海斗の周りでは、相変わらずいろんな女の子との噂が囁かれている。
最近では、愛里ちゃんに加え「美咲」や「杏奈」の名前まで出てきた。

私は、まんまと噂に乗せられて海斗にちょっかいを出し始めた。

まるで小学生の男の子が、好きな女の子に意地悪するみたいに…。

「ねぇ、愛里ちゃんと付き合ってるの?」

「美咲は？」

「じゃぁ、杏奈はどうなの？」

そのたびに海斗は苦笑いしながら逃げていた。

よくもまぁ、あんなことを堂々と聞けたもんだな。自分でもびっくりだ。

（私はあなたが気になってしょうがないんだよ～）って気持ちをバラしてるも同然だよね。
もしかしたら、面倒くさい女だ…と思われていたのかも。

そんな私に、海斗は怒って言い返すことはなかったし、無視されることもなかった。だけど…否定もしなかった。

一番仲良しの富山さとみは、私が海斗のことを好きだと知っている。

さとみは2個上の「武田先輩」に夢中で、同級生は眼中にない様子だ。

さとみと恋愛のあれこれを話しながら、つい「海斗、私のことどう思ってるんだろ?」と口にしてしまった。

さとみは「聞いちゃえ、聞いちゃえー」と人ごとだと思って捲し立てる。

「バッカじゃないの！聞けるわけないじゃん」と言いつつ、知りたいと思う気持ちが膨らんでいた。

聞いちゃおうかな……。