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黒歴史と白歴史
あの日からもうすぐ2週間。
いまだに目も合わせられないし、もちろん声もかけられない。
海斗は変わらず接してくれようとするけど…私が避けてしまう。
もう海斗との楽しかった時間は戻ってこない。
この出来事は中学の黒歴史として私の心に深く刻まれるんだろう…。
2年生になればクラス替え。海斗とは一緒のクラスになれる気がしない。むしろ一緒じゃない方が気が楽だ。
部活だって海斗は短距離、私は長距離で練習内容が違うから、ほとんど顔を合わせなくていいし…。
だけど…きっと…残りの2年間、つまらない学校生活が待っているんだろうな。
お昼休み、そんなことを考えながら図書室へ向かう。
さとみはテニス部顧問の滝藤先生に呼ばれて職員室に行ってしまった。
ズラリと並んだ本棚から、推理小説のコーナーを見つけ物色していると、隣に立つ男子の制服が見えた。顔は見えないが、かなり近いのは分かる。
(この人も推理系が好きなのか? 邪魔になってないかな私)と少し左へ移動すると、隣の人物も同じように左へ移動し距離を縮めてくる。
(怖っ! この人)
別のコーナーに移動しようとした瞬間、その隣に立つ人物に声をかけられた。
「あのさぁ」
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