:魔王と勇者と聖女

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「『自分と大切な者たちが笑顔に囲まれ幸せであること、それが一番の復讐だ』と、あなたは仰いましたものね、勇者さま」  かつては、とある国の皇女だったわたくしですが、わたくしやお兄さまなどよりも、よりふさわしい相手に皇帝の座は継いでもらうことにいたしましたの。  勇者さまや聖女さまではございませんわ。  彼らのほうが、その心の気高さは国を治める者としてふさわしいのでしょうが、幼少期から治世その他を学んできた皇族ほどの知識はございませんもの。  そのせいで悪事を目論む者の傀儡になどされては本末転倒。……というのは建前で、どこかの国が独占してしまえば反感を買ってしまうことになる、というのが正しいかしら?  ……ただ一つの国を除いて、ですけれどね。 「だからわたくしも、あなたや聖女さまに恥じることのない自分でありたいと思いますの」  わたくしは、勇者であり魔王国の新たな国王となられた彼に嫁ぐことになりましたの。  異なる種族との共存共栄への架け橋となってみせますわ。
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