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「ユリアは、『リリィ』呼びが定着してしまったようだな?」
「そうなの。本名を知られたくなくて、この世界では『リリィ』と名乗り続けていたのが、まさかこんなことになるとは……」
聖女さま……いえ、リリィさまは、先代の魔王のクオンさまの伴侶になられましたの。
レオさまとリリィさまは、クオンさまのお力と、言の葉の神様がお導きになられた、この世界の創世神様のお力をお借りして、一度元いた世界にお帰りになられました。
その後、元いた世界で天寿を迎えられ、この世界の創世神様のお力による肉体再構築という形でこの世界に戻ってこられたそうですの。
彼らが元々過ごしていた世界とこちらの世界では時間の流れが異なるというより、言の葉の神様が時空座標の導となり、創世神様がさほど時間経過が起きないように調整してくださったようですわ。
リリィさまのクオンさまへの熱烈な告白、懐かしいですわね。
リリィさまったら、『もう私のほうが精神年齢も年上なんだからね。私は立派なレディよ。大人なの。子供は恋愛対象にならないなんて言い訳は聞いてあげないんだから』などと仰って……うふふ、真っ赤なお顔で、お恥ずかしかったのか、リリィさまの瞳は涙で潤んでおりまして、たいへんお可愛らしかったのですわ。
その時のレオさまは、わたくしに、『吊り橋効果なのか、初恋は美化されるってやつなのか……どっちだと思う?』などと、真顔で問いかけてこられたのですわ。
その後で、『キミにまた会いたくて戻って来た』と仰るなんて……わたくし、その時はすっかり油断してしまっておりまして、軽く混乱していたこともあり、レオさまに何とお返事したのか、よく憶えておりませんの。
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