第7話 後宮入りします7★

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第7話 後宮入りします7★

「そろそろいいか」  入念にほぐし終えたところで、アウグネスト陛下は指を引き抜いた。そして一旦、俺から身体を離して自身も衣服を脱ぎ始める。  少しずつ露になる裸体は、俺と違って鍛え上げられた武人のそれだ。そして何よりも――天を衝くような立派な雄棒。  俺は、ごくりと生唾を吞み込んだ。あ、あれがお尻の穴に入るのか。マジで裂けたりしないよな? ちょっと怖くなってきた。  俺の表情が強張っていたんだろう。アウグネスト陛下は、気遣わしげな顔をした。 「やめるか?」  優しさからくる言葉なんだろうけど……それじゃ逆に覚悟が決まらないよ。絶倫王ならもっと、強引に攻めてくれ。  それに一度達したとはいえ、この有り余る性欲を途中で放り投げられても困る。 「い、いえ。つ、続けて下さい」  天にも昇る快楽だという性行為を、やっぱり早く体験してみたい。  どうにか腹を決めて、俺は自ら脚を大きく開いた。すると、アウグネスト陛下の手が膝裏を掴んで軽く持ち上げる。  まだ未通の処女門に、ぐっと硬いものが押し当てられた。少しずつ圧力をかけられると、そこが開けていく。ゆっくりと押し入ってくる肉棒は――熱した釘のように熱い。 「んっ、は…っ……」  丹念にほぐしてもらったからか、想像していたような激痛ではない。それよりも、圧迫感があって胸の辺りが苦しい。 「……入ったぞ。大丈夫か」  え、もう全部入ったのか。意外とすんなり挿入できたな。さすが絶倫王ともなれば、その手の技術が上手いってことなのかもしれない。 「は、はい」 「落ち着いたら、動く。痛かったら、言ってくれ」  なんだろう。すごく優しいひとだな。絶倫王なんて呼ばれるくらいだから、もっと強引にガンガン激しく攻めてくるイメージだったのに。  でも初体験の身には、その優しさがありがたい。  数十秒待って、アウグネスト陛下が動き出した。そろりと雄棒を引き抜き、また穿つ。ひたすらその繰り返し。  それなのに、不思議と中を擦られるたびに、脳髄が快楽で痺れる。最初に抱いた胸苦しい圧迫感は、いつの間にか消えていた。 「あっ、あぁっ、んんっ」  自然と喘ぎ声が口から漏れ出る。抑えようと思っても、我慢できない。  うわ……なんだこれ。すっごく、気持ちがいい……!  もっと中を擦ってほしくて、勝手に腰が動いた。はしたないことをしているとは分かっていても、快楽を前にしたら止められない。 「あっ、あっ、あぁっ」  雄棒の先端が奥に当たるたびに、頭が真っ白になる。こ、こんなに気持ちのいいものだったのか、性行為って!  一度小さくなっていた花棒が、また膨れ上がっているのが分かる。アウグネスト陛下が体重を乗せて放つ力強いストロークに、俺はあっさりとまた絶頂を駆け上がる。 「やっ…ま、また、イっちゃう……!」 「構わない。好きなだけイくといい」  吐精を促すように雄棒で一息に貫かれた。衝撃で、俺はまた果てた。  でも、アウグネスト陛下はまだ達していないから、そのままストロークが続くんだろうなって思っていたら……あれ? 動きを止めてしまった。  興奮状態にあった俺は拍子抜けして、頭が少し冷える。 「あ、あの……アウグネスト陛下? どうして」 「今日はここまでにしよう」  え!? な、なんで!? アウグネスト陛下は、まだ一度も達してないじゃん!  困惑する俺から、構わずアウグネスト陛下は男根を引き抜いた。当たり前だけど、硬度を保ったままだ。 「初日から無理をさせたくない。続きはまた、今度」  また今度って……いやいや、待てよ。なんで夜伽役だけが気持ちよくなったところで性交渉が終わるんだ。おかしいだろ。  っていうか、本音を言うと。  ――もっと、激しく攻めてもらいたい。  続きがしたいよ。まだまだ俺の性欲が満たされていない。こんな中途半端にほっぽり出されたら、あとで自慰しなきゃいけないこと確定だ。そんなの虚しいだろ。 「……アウグネスト陛下。お気持ちは嬉しいのですが」  言いながら、アウグネスト陛下の股間の前に移動する。硬く反り返ったそれを、俺はこわごわと握った。  アウグネスト陛下は、ぎょっとした顔だ。 「な、何を……」 「私に務めをきちんと果たさせて下さい。アウグネスト陛下にも気持ちよくなっていただかなくては」  さっき、してもらったように、モノを上下に扱く。  本当は今すぐ挿入してもらいたいんだけど……まさか、俺の性欲を満たすために続けて下さい、なんて本音を言えるわけがない。  ここはちょっと献身的な王婿アピールをして、その気にさせて、アウグネスト陛下自身から襲ってくるように仕向ける。  小賢しい手段なのは分かっているけど、それ以外に方法が思いつかない。 「うっ……ま、待て。分かったから」  俺の狙いがドンピシャだ。熱のこもった興奮した目が、俺を見下ろす。  我慢ならなくなったんだろう。ちょっと強引に押し倒してきて、正常位の体勢でまた俺の後孔に自身のそれをあてがう。――そして、一気に貫いた。 「あぁっ」  つい悲鳴じみた声が飛び出す。でも、別に痛かったわけじゃない。  むしろ―― 「んんっ、あっ、ふぁぁっ」  いい。  すっごく、いい。激しく攻められるこの感じ。  アウグネスト陛下の顔を見上げると、もう快楽を貪ることしか考えていないようで、無言で俺の菊門をガツガツと穿っている。 「は、激し…っ……やぁんっ」  口ではそう言いつつ、興奮している俺は……マゾ、なんだろうか。  しばらく、抽挿が続いて。 「出すぞ」 「あぁあああああ!」  よく分からないけど、結婚初夜は俺にとって身も心にも記憶が刻まれるような、そんな喜ばしいものとなった。 「ん…っ……あれ?」  ふと気付いたら、もう朝だ。  上体を起こすと、裸体の上に掛け布団がかけられていた。自分で布団に入った記憶がないから、性行為に耽り過ぎていつの間にか気絶したところを、多分アウグネスト陛下が介抱してくれたんだろう。失態だ。  ……でも。 「気持ちよかった、な……」  昨夜のことを思い出して、俺はうっとりと呟く。  生みの父が言っていた通りかもしれない。絶倫王の夜伽専門の王婿という役目は、そう悪いものじゃなさそうだ。  改めて。――贄婿ライフを満喫するぞ。
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