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アノヨ友の会
身体が重い。
おそるおそる目を開くと、どうやら俺はいわゆる
【あの世】へ来てしまったようだ。
しかし、様子がおかしいのだ。
【あの世】だってのに、【この世】とあまり変わらないようだ。
いつもの変わらない俺の物が散乱した部屋。
二階のアパートの窓を開けると人々の話し声、生活音、日が沈みそうでまだ沈まない太陽、キンモクセイの香り。
夢なのかと思ってしまう程だが、確実にこれは【あの世】なのだ。
そうだ。早希に電話してみよう。
スマホを取り出す。コールが鳴る。ちゃんと繋がるようで、ホッとした。
一体どうなってるんだ。早希には、俺がどうなっているか分かるのか。
やっと声が聞けるー
そう思ったら
『はい、お電話ありがとうございます。
こちら【××、友の会】でございます。』
『…すみません、ちょっと間違えてかけてしまったようです』
これは、早希の番号ではなかったのか。
もう一度確認してかけ直そう。
電話を切ろうとした。
『お客様、間違いではございません』
スマホの向こうの声の主はそう言った。
『はい…?でも俺はそのなんとかの会とか入ってないので…』
『お客様は、亡くなった時に強制的に【あの世友の会】に入会することになっております。というか、実際は生前から皆様入会しておられるのです』
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