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ある日、2人で近所のスーパーに出掛け、早希のアパートまで帰る途中だった。
この頃にはもう俺は早希のアパートに寝泊まりするようになりほぼ同棲しているようなものだ。
そんな幸せが突如音もなく崩れさることになる。
右側から来る大型トラックの運転手が明らかに横断歩道を渡る俺たちの存在に気付いていないことに俺は気付いた。
信号も見ていないのだろう。
スマホを見ているかの様にうつむいている、そんな角度だった。スピードだって50キロは出ているだろう。
轢かれてしまう!!
「早希!!危ない!!」
そこからの記憶はない。
どうやら俺は早希をかばい、轢かれてしまったらしい。あまりに一瞬の出来事で痛みすら感じなかったのが救いだ。
本当ならば俺は父親になるはずだったのに、あの日の境に人生はそこで終わってしまった。
そうなのだ。
人はいつどうなるか分からない。
明日がどうなるのかなんて予想もつかない。
一生懸命生きたとしてもその先に何がある?
『お客様が生前関わっていた方々は残念ながら【あの世】では再会することが出来ません。当時戸籍登録されていた方に関しては』
『どっちにしろ、早希にはもう会えないんだよな…今俺がいる所からは…戸籍があるとかないとか言ったよね?それはどういう…』
意味…と言いながら俺はある考えが浮かんできた。
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