ポケットに忍ばせた狂気
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菜名はぼんやりと自分達に覆い被さる木を見やった。 (大野は生きているし、いつか遥にも皆にも全てがバレるんだろうな……。その前に私はこの街から出ていこう。ずっと前からそのつもりだったし) 隣に座っている茶髪の男がニヤついた顔で菜名を見つめている。 菜名は、男に笑顔を向けながら、制服のポケットに手を入れた。 ポケットにはいつもと同じ、折り畳みナイフが入っている。
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