ポケットに忍ばせた狂気

1/8
前へ
/8ページ
次へ
私の名前は、高橋 (たかはし はるか)。 高校三年生、十七歳。 今、私は高校の教室にいて、手にナイフを握っている。 ナイフはベットリと血に塗れて、担任教師の 大野 (おおの たかし)が床に倒れている。 周囲はパニック状態で、同級生女子の悲鳴や 「救急車呼べよ!」や「マジかよ……」という男子の声が、頭に歪んだBGMのように聞こえる。 騒動を知り、駆けつけた他のクラスの女性教師が私に、 「あなたが刺したの?なんでこんなことをしたの!?」 と詰問している。 私自身が一番分からない。なんでこんなことになったのか……。 しばらくすると、警察と救急車がやってきて、私は連行された。 大野先生は腹部を刺されたが、一命を取り留め、私は殺人未遂者になった。 私はたしかに制服のポケットからナイフを出して、大野先生の腹部を刺した。 しかし、私は大野先生を殺すどころか傷つけるつもりすら全くなかったのだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加