ポケットに忍ばせた狂気

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私は自分でいうのも何だが、平凡な女子高生だと思う。 見た目は美人とまでは言えないが、おしゃれに気を遣い、うっすらメイクをして、ボブヘアーも少し茶色く染めている。でも、ピアスなどの校則違反はしていないし、制服もきちんと着ている。 不良でも暗い生徒でもない。 女友達も男友達もいるし、クラスに親友もいる。特に、柏木 菜名(かしわぎ なな)は小学生からの付き合いで、学年No.1と言われるほど可愛い子だ。 目がパッチリしていて、少し茶髪のロングヘアーはいつもサラサラで、華奢で守ってあげたくなる。 菜名には彼氏がいて、私はいないが特にモテないわけでもない。彼氏がいたこともある。 家族仲もいい。非行に走る理由もない。 ただ私が他の子より少し変わっているところがあるとすれば、大のマジック好きだというところだ。 小学四年生の学芸会で、一生懸命覚えたトランプマジックを披露すると、クラス中から喝采を浴びた。そのときの快感が忘れられず、私の将来の夢は世界的なマジシャンに決まった。
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