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はじまり(莉奈)
「莉奈・・・別れて。」
大森莉奈(おおもり りな)27歳。OL5年目。
付き合って半年の飯塚 徹(いいづか とおる)30歳に別れを告げられ
ている。
「分かった。」
「それだけ?お前は俺の事好きじゃないだろ?」
「そんなことない」
「会わなくても平気だし、たまに合っても年下のくせに母親みたいだし。」
「・・・・」
「俺、好きな女が出来た。お前よりかわいいし、俺がいないとダメな子。」
「・・・」
「泣きもしない。お前は可愛げがない。じゃあな。もう連絡とかしてくるなよ」
ここはホテルのバーラウンジ。忙しい彼との久しぶりのデートだと思って
いたら一方的に別れを告げられた。
彼とは友達に無理矢理連れていかれた街コンで出会った。3歳年上の営業マン。
付き合ってから2ヵ月位でプライドが高い彼に振り回されていた。
忙しいからなかなか会えない事に文句も言わなかったし、たまに家に呼ばれて
も家事させられて、気持ちのよくないセックスをするだけ。痛みしかない
から甘い声は出ない。そんな私を不感症だとののしる。疲れてしまって自分から別れを切り出すのも面倒になっていた。
そこからの別れ話。気持ちが追い付かなくて何も言えなかった。
好きな女が出来た・・・ってことは浮気されてたんだ。
目の前にある夜景を見ていると、いろんな感情が湧き出てきて鼻の奥がツンとする。
カクテルを飲み干して、次のお酒を頼むためにボーイに声をかける。
「強いのでお願いします」
今日は金曜日。嫌なことを忘れるためにお酒を飲みまくることにした。
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