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その日以降、合唱の練習を行う度にハンカチは増え続けた。家から出る時に持たされたハンカチは一枚だけ。それが、合唱の練習を行う度に五枚に増えてしまうのだ。
毎回先生に四枚のハンカチを渡していれば疑問に思うのか、先生は僕の親に連絡をして事情の確認を行うのであった。僕の親からしても皆目見当もつかないこと。ただ、一度だけ「おともだちのハンカチを持ってってない?」と泥棒を疑われたことはあった。あの時の母の悲しげな目は一生忘れることは出来ない。
それ以降、増えた四枚のハンカチはゴミ箱に捨てることにしている。これで、謎の四枚のハンカチの件は「大人達」の間では終わったことに出来る。
僕の中では終わらないことなのだが、これで解決である。
一度だけ、右ポケットにポケットティッシュを入れたことがあったのだが…… その時にも合唱の練習があり、僕は右ポケットを四回叩いていた。
例によってポケットティッシュは五つになっていた。四つ、増えていたのだ。
僕は気がついてしまった。ポケットを叩くと、中のものが増えるということに。
正にふしぎなポケットの歌詞そのままである。この歌は最後に「そんなポケットがほしい」と言う歌詞で締めるのだが、僕はそんなふしぎなポケットを本当に手に入れてしまったのだった。
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