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二人は待合室で取っ組み合いの喧嘩になった。
「あんたみたいな誠実好青年くんは嫌いだよ、そういうやつほど裏で最低なことをやるからね」
「こちらこそ、あんたみたいな軽薄な輩は嫌いだよ。ぎらぎらとけばけばしい見た目も中身がないからじゃないか」
「お前は俺の何を知っているか」
「そちらこそ」
罵り合いが続く。
ジョージはトムを止めようとしたが力の弱いジョージにはできなかった。尻餅をつくジョージを軍人が支えてくれた。
「大丈夫か、スーツが汚れてしまったな」
「大丈夫です、ありがとうございます」
二人は窓際にもつれ込んだ。窓は開いていた。
「この嘘つきが」
「あんたはどうなんだ」
スーツは埃まみれで髪はぼさぼさだった。いくら色男とはいえ、面接に向かうのにふさわしい姿ではない。
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