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「みっくん、かえちゃんのこと泣かせたらみっくんでも許さないからね」
顔を下に向けてくちびるをぐっと噛んでから、みっくんをにらみ付けるように口を開いた。
するの、みっくんがフッと大人の笑顔をせるから、やっぱりモヤモヤする。
「うん、泣かせないよ。約束する」
「うぅっ……みっくんなんて、かえちゃんに愛想つかされちゃえばいいんだ!」
「はは、それは困るな」
今度は、みっくんがあたしの頭を優しくなでた。
胸がぐぁってあつくなって、目と鼻の奥がツンといたくて、悲しいわけじゃないのになみだがボロボロとこぼれていく。こんなきもち、はじめてだった。
あたし知ってるもん。みっくんがかえちゃんの前だけだと甘えてるの。あたしの前では見せない顔してるの、知ってるもん。
「か、かえちゃぁんっ、」
「え、希乃愛……、どうしたの?」
「かえちゃ…だいすき……うぁぁーーーん、みっくんのばかぁ…」
もう小学2年生なのに、大泣きしちゃうなんてどうしたんだろう。
あたし、かえちゃんが大好きだから、寂しかったのかな。
「希乃愛……、私も大好きだよ」
「う、うぇっ、うえぇぇぇ……っ、」
「希乃愛、大丈夫。いつでも香江ちゃん遊びに帰ってくるから、ね?」
お母さんが背中をポンとたたいて、肩に手をまわして包み込んでくれるけど、ぜんぜん涙はとまらなかった。
けっこん式のあいだ、あたしはずっとしくしく泣いていたみたい。
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