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「ほらー、あの子だよ」
「営業課の山崎主任と付き合ってるんだって」
「飲み会でお持ち帰りされたらしいよ」
「山崎さんってそういうことするんだー。真面目な人だと思ってたから意外……」
入社して3週目。会社でとんでもない噂が広まってしまった。
よく知らない人達だし、影で言われてるだけで直接言われたわけじゃないから"違うんです！誤解です！"と否定も出来ない。
どうしてこんな噂がたってしまったかというと──。
＊＊＊＊＊
(飲み会の次の日)
「な、なんで主任が？夢？？いだぁっ」
大きな叫び声を上げたと同時に、頭がズキンと痛んだ。なにこれ、頭がガンガンする。
「きっと、二日酔いだよ」
「ふつかよいー？」
山崎主任が私の目の前にしゃがみ込んで穏やかな表情を見せる。その後ろから、希乃愛がちょこんと顔を出した。
「希乃ちゃんのママはね、昨日お酒飲み過ぎちゃったんだよ」
「のみすぎー？」
「初めてのお酒だったんだって」
「はじめてのおさけー？」
希乃愛が「ママ、のみすぎちゃったのー？」と、きゃっきゃしながら飛び付いてくる。
その衝撃が頭に響いて頭痛がより激しくなった。
室内を見渡しても完全に私の家だ。私の部屋だ。膝の上に希乃愛もいる。
どうして、山崎主任が希乃愛と仲良く一緒にいるのかわけが分からないんだけど。
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