内緒で子育てしています

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夕方6時過ぎ。残暑が終わり涼しくなった。 過ごしやすくなったのはいいけど、今度は急に日が暮れるのが早くなる。 希乃愛を自転車の後ろに乗せて、スーパーの駐輪場に止めた。 「きょう、おかいもの?」 「うん、湿布と、ばーばがお刺身が食べたいんだって」 ──────────────── (お母さん) 希乃愛の迎えお願い!! ぎっくり腰で動けない(涙)沈痛湿布買ってきて!夕飯はお刺身が食べたい(寿司)(お願い) ↓それと買ってきて欲しいもの 牛乳、卵、納豆、柔軟剤 ……… ──────────────── 昼休みに入ったメッセージには、希乃愛のお迎えだけでなく買い物リストまでちゃっかり入っていた。 ま、病人様には逆らえないしね。高いの買っちゃおーっと。 「やったーー!おすしすき」 「えーと、希乃愛は卵と納豆巻きでいいかな」 惣菜コーナーでお寿司のパックを手に取れば、希乃愛が両手を上げて「きゃっきゃっ」とジャンプをはじめる。 「こら!スーパーではしゃがないの……」 この子は、可愛い可愛い私の──、 「あれ、奈良崎さん?」
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