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金曜日の仕事の後。会社の人達とのはじめての飲み会が行われることになった。
先週、ぎっくり腰を起こしたお母さんも復活し、希乃愛の事も任せてある。
「三浦さん、奈良崎さん何頼む?」
「私、カシスサワーで」
「えっと、じゃぁ……私もカシスサワーお願いします」
ガヤガヤと賑わう居酒屋チェーン店。
隣に座る三浦さんに続いて、私も同じものを頼んでみた。何気に人生初の飲み会で、こういう所に入ったの初めてだからドキドキするな。
キョロキョロと周囲を見渡すと、主任の姿は見当たらない。
あのスーパーで鉢合わせした日から1週間。
主任が他の人に言いふらしている様子はなかった。
一応、言わないでと頼んだから内緒にしてくれてるのかもしれない。
「今日はー、奈良崎さんの入社と三浦さんの部署移動も含めまして歓送迎会……という名目上の飲み会になります」
「「「かんぱーい」」」
座敷の一室に乾杯の声とグラスをカチンと合わせる音が響き渡る。
「飲み放題だからいっぱい飲んでねー」
幹事の鈴木さんがニコニコと気にかけてくれる。こういう場に慣れてない私にとってありがたい。
「奈良崎さん、仕事慣れた?」
三浦さんがグラスに口付けながら、顔を私の方へ向けてきた。
「はい、なんとなく。でも、分からない事だらけなので、聞きに行っていいですか?」
彼女は私よりひと回り年人の女性で、2人の子供を育てている。引き継ぎも含め事務全般を教えてくれるのだけど、来週から違う部署へ移動してしまうのだ。
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