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「やー、おねーちゃんいやっ!!」
お姉ちゃんが暴れる希乃愛から手を離すと、この子が「ママッ!」と叫んで私にしがみついてきた。
「……香江が…ママ?」
彼女の冷たい声のトーンにゾッとした。続いて鋭い目を向けられるから反射的に肩がビクッと動く。
「あ、ほら……子供って"わんわん"とか"ママ"から覚えるじゃん。それで、えと」
「そっか。じゃぁ、しょうがないね」
明らかに作り笑いを見せた姉が、今度は希乃愛に目線を合わせた。
「希乃愛、急にびっくりしちゃったね。お姉ちゃんはねー、香江の……ママのお姉ちゃんだよ。よろしくね」
「えー、ママのー?おねーちゃん??」
「そう。ママのお姉ちゃん」
ビクビクしながらも姉と会話を交わしていく希乃愛。
だけど、私は希乃愛以上にもっと警戒していて動揺を隠せない。
「お、お姉ちゃん。急にどうしたの?」
「どうしたって、希乃愛の様子見にきて何が悪いのよ」
「帰ってくるの?ていうか、何処に行ってたの??凄く心配したんだよ!!お母さんだって……」
「さっきの男の人、彼氏?ふーん、男できたんだ。良かったね、あんた男っ気なかったもんねー」
「今そんな話してるんじゃなくて!!」
「ちょっとだけ。希乃愛の顔見てこっそり帰るつもりだったんだけど。あんたが、男と希乃愛と一緒にいるの見たらっ……」
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