ママが2人になっちゃった!?

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「香江、ちょっといい?」 希乃愛を寝かし付けた後、部屋の扉がトントンと叩く音がした。と同時に、母親が顔を出し手招きの仕草をみせる。 頭を上げて隣を見ると、安心しきった様にすやすやと眠る希乃愛の寝顔が目に入る。そっと、その小さな頭に手を置いて、優しく撫でてから身体を起こした。 「希乃愛に本当のことを話そうと思うの」 重い空気で静まり返るリビング。そう感じているのは私だけかもしれないけど。 4人用のダイニングテーブルの向こう側には母と姉が並んで座っていて、最初に話を切り出したのは母だった。 「……本当のことって何?お姉ちゃんが希乃愛の本当のお母さんだってこと?」 と、口にする私の表情は子供みたいに不貞腐れていたと思う。 「そうよ。理解は出来なくても、ちゃんと話して希乃愛には産んでくれたママと、育ててくれたママがいるって事を伝えようと思うの」 母の台詞に胸の奥のモヤモヤが膨らんでいく。 頭では当たり前のことだと分かっているけど、肝心の姉はは口を噤んだまま目を伏せていて、私の方を見ようともしない。 「お母さんね、調べたんだんだけど、子どもにも本当のことを知る権利っていうのがあってね。ちゃんと愛されてるって実感……」 「お姉ちゃんは、どう思ってるの?私が希乃愛に"ママ"って呼ばれてるの目の当たりにしてどう思った?ムカツイたんじゃないの!?」
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