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鼻を啜って声が裏返った。
ヒステリックな叫び声がヒートアップしていく中、"殺そうとしたのに"という言葉はなんとか飲み込んだ。
「落ち着きなさい。あの時。佐江は頼るところがなくて精神的に追い詰められてたのよ」
「何で?お母さんはお姉ちゃんの味方なの?追い詰められたら叩いていいの?抵抗できない小さな子に何してもいいの?」
お姉ちゃんが顔を両手で覆って泣いてるのが分かるけど、被害者ぶってバカみたい。本当の母親に酷い事された、被害者はあの子だ。
どうしても、納得できない。受け入れられない。しょうがないね、なんて感情の処理ができる訳がない。
「香江、あなたは希乃愛の面倒をみてとても可愛がってくれたわ」
お母さんがいつの間に背後に回り、私を宥めるよう背中を撫でていた。
感情的になった私を落ち着かせるようゆっくりとしたトーンで言葉を続けていく。
「けど、佐江が希乃愛を迎えにきたんだったら……。もちろん、環境を整えた上でもちろんフォローもしつつ本当の母親の元に戻してもいいと思うの。」
「……こ、ここで皆で協力して育てればいいじゃん!今までだって、お母さんと2人で協力してやってきたじゃん!それに、繰り返したらどうするの?」
「あのね。実質、親権は佐江にあるのよ。それだけじゃなくてね、私は香江に普通に幸せになってもらいたいの。分かるでしょ?」
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