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「お姉ちゃん、大丈夫?」
小さなノックをしてそっと扉を開けた。
姉の部屋は真っ暗で、ベッドの上に横になっていた。
姉が上京してからも、いつ帰省していいよう母によって整理されて綺麗な状態だった。まさか、こんな形で帰ってくると思わなかっただろうけど。
パチンと電気のスイッチをつけると、さっきの子がカーペット上に座っているから驚いた。
「この子、暗くても泣かないんだね。それにしてもさ、びっくりしたよ!まさか子供がいるなんて!相手誰なの?」
ピンク色のロンパースを身に付けてるから、女の子なんだろうな。なんて、思いながら背中を向ける姉に話し続けていく。
「お父さんも酷いよね!理由も聞かないで!」
「…………」
「でも、なんかお姉ちゃんがお父さんとお母さんに子供ができたとか言えなかった気持ち分かる」
「…………」
「言ったら怒られそうだもんねぇ。お父さんすぐキレるしさー」
父と顔を合わせると喧嘩になっていた私。
いつも褒められていた姉が、父親にはじめて怒られいるのを見て。勝手に姉に親近感が沸いていたのは事実。
「はぁ、どうにかして欲しいよ。子供叩くなんてあり得ないしー。ふざけんなだよね、あの暴力親父が」
頭の上に人差し指を立てて鬼のジェスチャーを見せながら、ペラペラと言葉を並べていくとビクッと姉の体が大きく動いた。
「…………なの」
「え?なに?」
「……私も………たいたの…………きたの」
「え?」
「私も、叩いたの。このまま、殺しちゃうんじゃないかって……思って、怖くなって帰ってきたの」
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