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「少し、落ち着いたかな?」
主任がソファに座る私にホットココアを手渡し、すぐ横に腰かけた。
外はもう真っ暗で、私が泣き止むまで主任はずっと抱き締めててくれた。
寒いからと、車に誘導されそのまま主任の家に連れて来られてしまったのだけど──。
うちのマンションから車ですぐだった。
てっきり、実家暮らしだと思ってたのに1人暮しみたい。
1DKだけど広さのあるアパートの1室。部屋の中をキョロキョロと見渡すと、落ち着いた大人っぽいモノトーンのローソファや家具で揃えられていた。
「……すみません、出張から帰ってきたばかりなのに。主任………じゃなくて、あの、み、みっくんも疲れてるのに」
"主任"と口にした瞬間、彼が首を傾げてじーっと見てくるから、慌てて名前で言い直す。
「うん。疲れてたけど、香江ちゃんの顔見たら疲れ吹っ飛ぶから」
みっくんが目を細めて優しく微笑むから。かぁぁぁと頬に熱が上がって、また少し泣きそうになった。
ごまかすように、両手で持ったココアを口にする。
「言いにくいなら、言わなくていいけどどうしたの?何かあった?」
「あの、私、主任に内緒にしてた事があって」
「うん、なぁに?」
「本当は付き合うことになった時に伝えなきゃいけなかったんですけど。実は……希乃愛は、あの、その…………」
「希乃ちゃんは本当の子供じゃないんだよね?」
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