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体育祭のチーム分けが終わると、何かと体育祭のチーム毎での行動が増えて来た。
「たまちゃんは何に出るの?」
「う~ん……綱引きかは絶対だけど、後1種目はどうしようかなぁ?」
何も考えずにぼんやり呟くと
「えぇっ! 借り物競争とかは?」
目を輝かせる林田さんの言葉に
(漫画じゃないんだから、『好きな人』とか無いですよ)
そう心の中で呟きながら、借り物競争で『好きな人』とか出て長塚君の所に行った所で、冷たい視線を向けられながら拒否られるのが容易く想像出来て身震いする。
苦笑いを返す私に
「じゃあ、私と一緒に二人三脚に出ようよ!」
そう言われて拒否するのも変な話だと思い、私は林田さんと二人三脚に出る事になった。
(勿論、綱引きもね)
一人二種目だったから、私はこれでひと安心と肩をなで下ろしていると、応援合戦の赤組1年生代表に何故か千田君グループの面々と私の名前が黒板に書かれているでは無いですか!
「ちょっと待った!」
慌てて席を立ち
「応援合戦は無理!」
と叫ぶと
「え~!何で?」
と、林田さん他女子の皆様。
みんな、やりたくないから私に押し付けたよね!
林田さんや長内さん、津山さんという、学年で可愛いと言われている3人と誰が並びたいのよ!
「チアリーダーの服じゃなくて、着ぐるみなら出る」
やけっぱちで反論した私に
「じゃあ、たまは猫な!」
と千田君に言われてしまい、決定してしまった。
そして私は応援合戦で、白い猫の着ぐるみを着て、ダンボールで作ったミカンから某国民的アニメのエンディングのように飛び出す役目を頂いたのだ。
応援に何の関係が?とは思ったけど、何故か異常に盛り上がってしまう。
とはいえ、着ぐるみなら顔出ないから、私だってバレないし……って思っていたら、用意されたのは猫耳が着いた被り物の着ぐるみだった。
顔面がガッツリ出る着ぐるみに
「い~やぁ~!!」
と叫ぶと
「何でだよ!ちゃ~んと猫の着ぐるみだろう?」
なんて、千田君が笑っている。
顔が出るなら、チアリーダーだろうが着ぐるみだろうが……一緒ですやん。
涙目になりながら、男子は長ランとボンタン。
女子は可愛いチアリーダーの服を着た皆様を横目に、(何でこんな目に……)と、着ぐるみを着てガックリ項垂れた。
一刻も早く着替えたい私の気持ちを他所に、みんな私の周りに集まって
「たまちゃん、可愛い!」
「見て!赤いリボンに、鈴を通した首輪作って来たの~」
と、私はみんなに弄ばれていた。
そろそろ着替えないと、次の授業の為に他のクラスに行っていた白組の人が戻って来るね~なんて話していると、教室のドアが『ガラリ』と音を立てて開いた。
みんなで音のした方を見ると、そこには長塚君が立っているでは無いですか!!
長塚君は私を見るなり、一瞬固まってから「プッ」と吹き出したのだ。
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