クロノスの秘密

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夜が更けていく中、テクノゲート本社ビルの最上階にある間宮聡のオフィスは、周囲の夜景に溶け込むように静かでありながらも、内部では緊迫した空気が流れていた。昨夜のミライ・ラボへの侵入失敗後、間宮は失敗の原因を徹底的に分析し、次なる計画を練るために部下たちを集めていた。 「昨夜は計画に狂いが生じた。しかし、失敗は成功のもと。我々はもう一度、ミライ・ラボへの侵入を試みる。」間宮の声には冷静さが漂いながらも、その目には燃えるような決意が宿っていた。 部下たちも、昨夜の失敗から一夜明け、新たな挑戦に向けての決意を新たにしていた。間宮は続ける。「クロノス・エッセンスを手に入れることができれば、我々の時間移動技術は完成する。未来へは行けなくとも、過去への旅は可能となる。この技術があれば、歴史を塗り替え、テクノゲートは真の力を手にすることができる。」 一人の部下が手を挙げて質問した。部屋の緊張がほんの一瞬、糸のように細くなる。「しかし、前回のようにミライ・ラボに気づかれずに侵入する方法は?」彼の声には、先の失敗への不安が震えていた。 間宮はその質問に対し、力強い表情で答えた。彼の目は未来を見据える野心に燃えていた。「昨夜の失敗を教訓に、次はもっと巧妙に行動する。まず、セキュリティシステムの盲点を利用する。我々はラボの通信システムに細工を施し、彼らのセキュリティネットワークに偽の信号を送り込む。それによって、一時的にセキュリティの監視を誤魔化すんだ。」 部下たちは間宮の計画に唖然としていたが、彼の確信に満ちた声によって心を奮い立たせられた。間宮は続ける。「次に、我々の中で最も機動性に優れたエージェントを選抜し、彼らには特殊な装備を与える。夜陰に紛れてラボの裏口から侵入し、クロノス・エッセンスが保管されている場所まで潜入させる。この作戦は完璧だ。失敗は許されない。」 部屋に再び緊張が張り詰める。間宮の策略にはリスクが伴うが、その胸には揺るぎない自信があった。彼の周りの空気が、その決意によって熱くなっていくのが感じられた。 「我々にはそれができる。」彼は部下たちを見渡し、一人一人の目を見て言葉を重ねた。彼の視線は、部下たちにも勇気と信頼を植え付けていく。 部下たちは間宮の言葉に勇気づけられ、失敗から得た教訓と新たな計画への期待で心を一つにしていた。彼らの表情は、恐怖を乗り越え、決意に満ちたものへと変わっていった。間宮は画面に映し出されたミライ・ラボの構造図を指しながら、次なる侵入計画の詳細を説明し始めた。彼の指が構造図上を動くたびに、部屋の空気はさらに緊迫していった。 計画は緻密に練られ、部下たちはそれぞれの役割を与えられた。彼らの心は、次なる挑戦に向けて燃え上がっていた。この夜、間宮のオフィスから見える夜景は、彼らの野望を映し出しているかのように、輝きを増していた。 「クロノス・エッセンスを手に入れ、新たな歴史を創るのだ。テクノゲートの未来は、我々の手にかかっている。」 部下たちはその言葉を胸に、次なる行動に向けて準備を進めた。夜は更けていくが、テクノゲートの野望はこの夜に新たな火を灯し、明日への挑戦へと繋がっていくのだった。
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