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「今日はお父さん来るって?」
「わかんないけど、来るとしたら夕方かなあ?」
「……そうか。じゃあな」
「うん、バイバイ弘樹先生」
カーテンを元に戻して出た。
院長とは外来を診てから昼時に食事をしながらという待ち合わせだ。
医局でカンファレンスに出た後、指示をして外来へ降りた。
すると、後ろから背中を叩かれた。
「弘樹先生。今日はこれから外来ですか?」
振り向くと院長の娘、佳奈美さんだ。
「ああ、そうだ。君は何してるんだ?もう外来受付始まってるぞ」
受付を見ると、彼女の席の椅子が回っている。抜け出して来たんだな。
周りの人はこちらを呆れた目で見ている。困ったものだ。事務管理者も注意できないのは周りにいい影響はない。
「患者をこんなに待たせて、席を外すなんてよくない。すぐに戻った方がいい」
「だって、こうしないと先生と話せないんだもん」
腕を取ろうとするので、手を払った。初めて手を払われたので驚いたのだろう。すごい目で睨んでいる。
「先生、ひどい……私達……」
「仕事中だ。失礼」
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