縁談《弘樹side1》

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 遮るように話して、戻った。後ろで睨み付けている。  患者さんも驚いて見ている人がいる。病院にとっても、俺にとってもマイナスでしかない。  後ろから看護師が付いてきた。小児科の看護師だ。  「先生。おはようございます。朝から大変ですね」  「ああ、おはよう。全くだ。患者さん達も見ているのに、何を考えているんだか」  「それはもちろん、先生に優しくしてもらうことしか頭にないんでしょう。周りが見えていない、典型的な恋の盲目現象?」  彼女は俺と同じくらいの歳の看護師。結婚を控えている。さすがに彼女とは全然違う。ある意味大人だ。  「君もそうだった?」  「そうですねえ、少なくとも、さっきみたいなひとりよがりはないですねえ。どう見たって、先生はその気がないって近くにいる人間はわかってますけど、本人は全く見えてない」  「……そう言ってやってくれよ」  「言って差し上げたいところですけど、どうせ信じてくれないでしょ?先生お立場もあるでしょうけど、その気がないならそろそろ潮時かもしれませんね」  「全くだ。そろそろ潮時だ。はっきりさせないと」
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