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駆け出しの頃は色々落ち込むこともあるから、事情をわかった上で、気晴らしの相手がいるのは本当に大事なことだ。
急いで看護婦に目配せするとうなずいている。院長室へ内線をかける。これから行きますと連絡した。
最上階の院長室へ行く。
「失礼します。原田です」
「入りたまえ」
「遅くなり申し訳ございません」
入り次第頭を下げる。予定より一時間近く遅れてしまった。
「いや、今日は金曜だったから、こうなるのは予測済みだよ」
そう言うと、テーブルの上に用意してある重箱が目に入った。
「お茶を頼むよ」
電話で連絡した院長は席に座るよう促した。ソファに向かい合わせで座った。すると、秘書がお茶を入れてきて、重箱と箸を目の前に置いた。
「とりあえず、暖かいうちに食べようじゃないか」
箱を開けて驚いた。ウナギだ。
「すごいですね。こんな立派なうな重ここ最近食べたことはなかったです。いいんですか?」
「ああ。君には普段からよくやってもらっている。お礼にしては足りないくらいだ。これからのことを考えるともっとだな」
「院長。そのことですが……」
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