縁談《弘樹side1》

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 駆け出しの頃は色々落ち込むこともあるから、事情をわかった上で、気晴らしの相手がいるのは本当に大事なことだ。  急いで看護婦に目配せするとうなずいている。院長室へ内線をかける。これから行きますと連絡した。  最上階の院長室へ行く。  「失礼します。原田です」  「入りたまえ」  「遅くなり申し訳ございません」  入り次第頭を下げる。予定より一時間近く遅れてしまった。  「いや、今日は金曜だったから、こうなるのは予測済みだよ」  そう言うと、テーブルの上に用意してある重箱が目に入った。  「お茶を頼むよ」  電話で連絡した院長は席に座るよう促した。ソファに向かい合わせで座った。すると、秘書がお茶を入れてきて、重箱と箸を目の前に置いた。  「とりあえず、暖かいうちに食べようじゃないか」  箱を開けて驚いた。ウナギだ。  「すごいですね。こんな立派なうな重ここ最近食べたことはなかったです。いいんですか?」  「ああ。君には普段からよくやってもらっている。お礼にしては足りないくらいだ。これからのことを考えるともっとだな」  「院長。そのことですが……」
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