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大和くん
「お世話になりまーす」
本店の大和君が元気にやってきた。
「材料持ってきたんで確認お願いします!」
「はいはい、ありがとう」
支
「そうですね」
「新卒って言ってたから、まいちゃんとそんな変わらないわね」
「そうですね。でも"社会人"っていうだけでなんか全然大人に見えます」
「そうねぇ。そう言うもんよね」
時間帯的にそんな忙しくもないので、
世間話に花が咲く。
「でもさぁ、ほんと私たちにも愛想がよくて、
可愛いわよね」
「まぁ確かに」
あ、もしかしてこの流れは…。
「どこぞの誰かさんよりもてそうよね?」
あぁ、やっぱりそう来るかぁ。
にやにやと私を見る中川さんを恨めしく見てしまう。
「それに大和君、何かまいちゃんに優しい気がするし」
「え?え?何言ってるんですか、みんな同じ対応ですよ、きっと」
なんてことないことなのに、なぜか焦ってしまう。
「あら、そうかしら?」
「そうですよ!」
「うふふ。私は大和君のほうがいいと思うけどなぁ」
「だ、誰と比べてるんですか!」
そこにタイミング悪く、佐川くんが通りかかる。
その視線にゾクッとする。
え?にらまれた?
そんなに大きい声ではなかったけど、
仕事中に無駄話してたのは…、ちょっとまずかったかな。
でも、なんかあんな風に見られたら、へこむわぁ。
「あらあら噂をすれば…」
それでも中川さんはまだ余裕で笑っている。
「佐川君お疲れ様」
「!!」
わざとらしい挨拶にこちらが焦ってしまう。
「…お疲れ様です」
一応っといったように頭を下げて、通り過ぎる佐川君。
あぁその横顔もたまらん!
なんてのんきに考えてしまう。
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