~愛の祭典~

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「君の、そういうところが嫌いなんだ」 「なによ……私は、仕事で疲れて帰ってくる貴方のために、こんなにも尽くしているのに」  愛の精霊がいるといわれている、ハートの葉をつけた大樹がある森で、男女が言い争いをしている。  この光景は、何度も目にしていた。  女の人間が、なぜか何もない草原で倒れかける。もう1人の女の人間……私に似せた人間が、背中を押した。もちろん、で。  私も、人間に見えないことをいいことに毎回で、ただ押していた。 「きゃっ……」 「大丈夫か!? ここは、少し坂になっているんだ……危ないだろう」 「あ、有難う……あなた」  2人は先ほどの喧嘩も忘れるほどに、繋ぎ合った手を互いに腰に回して抱き合う。  話は、30分ほどで終わった。  人間の物語を見たのも初めてだったが、正直……ほとんど正解で驚いている。  私たち精霊は、人間には見えないはずなんだけど、それだけ私は同じことを繰り返しているのだろうか。 「あっという間だったね。僕も、絵本では読んだことがあるんだけど、あれが本当ならとてもユーモアがある精霊だよね。おかげで、僕たちは繁栄したようなものだけど……」
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