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私たちは、見世物の後に街の外れにきている。
ヒスイがオススメだという占いの館と呼ばれる店があるらしい。
私には、人間の占いというものは分からない。
当たると評判らしく、祭りがある町に訪れる旅の占い師なのだと、彼は楽しそうに話をしてくれる。
町外れは閑散としているけど、大きな丸い花壇が置かれていて、白いレンガに季節の花が植えられていた。
これから暖かくなる季節だから、きっと今よりも明るめで色とりどりな花が並ぶだろう。
100年前に訪れたときは、ここの存在を知らなかったから……100年の間に、町の人間たちが作ったのだろうか。
それとも、精霊の私は町を探索することはしなかったから、気づかなかったのかもしれない。
占いは、恋人同士に人気だという。だけど、この評判が良い占い師は、祭りでしか訪れないらしく、町の人間は全員なにかしら占ってもらっているようだ。
少し進んだ先に、小さな赤いテントが佇んでいる。ここは、人気がなくて、はぐれないからと、手を握られることはなかった。
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