~愛の祭典~

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 なぜか、少し心がざわつくような感覚に胸に手を当てる。だけど、私にはその感情が分からなかった――。 「着いたよ。実は、僕もまだ占ってもらってないんだけど……せっかくだから、君との今後について占ってもらおうかな?」  ヒスイは笑顔を向ける。これは、きっと……人間の感情でいう、楽しいというものかもしれない。  私は、人間の感情を5割ほど理解しているから、なにが楽しいのかは分からないけれど……大体、顔色で分かる。 「それじゃあ、私も……ヒスイとの、関係を占ってもらうことにする」 「ふふ……冗談のつもりだったんだけどね。君は、素直なのかな? 他人に騙されそうで、少し心配だよ」  冗談だった。  ――冗談って、なに?  その言葉は、教えてもらったことがなくて私は首をかしげる。すでに、最低男という人間に騙されたけど、そのときも聞いたことがなかった。  とても気になったけれど……「冗談って、なに?」って聞いたら、きっと疑われる気がする。  人間の感情を、自分の中ではまだ分からないけど、聞いてはダメだと私の頭が警鐘を鳴らしていた。
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