~愛の祭典~

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 私たちは、なにを占ってほしいか口にしていないのに、人の形を模した精霊は、分かるらしい。  どんな魔法を使っているのだろうかと、私はそちらに興味をもった。  占い師の精霊は、キレイな丸くて透明で、水鏡のようなガラス玉を覗きこんでいる。  これは、水晶玉という宝石の一種だと聞いた。宝石は、キレイな石だと思っていたけど……種類も多い。 「お? 見えてきたよ。うーん……そうだな。近い未来は、良好。遠い未来は、困難あり……かな? それでも、2人の気持ちが同じ方向を向く限り、未来は変えられる」 「独特な言い回しだけど、当たると評判なだけある物言いだね。遠い未来に困難ありか……それがどんな未来かは、分からないけど……この祭りだけの関係ではなさそうで嬉しいよ」  占い師の精霊と違って、人間のことも、占いの魔法についても分からない私は、ヒスイの言っている意味も、どうして嬉しいのかも、分からなかった。  ただ……悪い感情ではないことだけは、分かる。  私は、占い師の精霊と別れる際、手招きをされて顔を近づけると、「頑張って、同族のキミ」と笑顔を向けられた。
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