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これは、その死んだ人間が教えてくれた怒りだ。そして、哀しみ――。
私は、独りぼっちだったから、大事な人が分からなかった。この怒っていた人間の感情も……。
人間は寿命が短いだけで、みんな同じ存在だと思っていた。人間だけじゃない。他の生き物は全て。
私たち精霊は、寿命という概念がない。
他の生き物は寿命があるから、子孫を残しているだけだと思って移り変わる姿をみていた。
人間のことを、なにも分かっていなかった――。
今日は、風が心地良い晴れの日。
森から覗く街も、いつも以上に活気だっている。なぜなら、今日は100年に一度のお祭りらしい。
実は、私が棲む近くの小さな街では、私を祭ってくれていた。
つまり、今日の主役は、この私。
私たち精霊は人には見えないから、愛の手伝いをしていたけど、知られていないと思っていた。
愛と言っても、人間のいう恋愛だけじゃない。
この地方は、よく天災に見舞われる。それを、何度か助けてあげただけ。
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